008 晴ればれ 
結縁  本文中SAMPLE


(前略)


 下帯を解いた近藤の雄が熱く天を向いているのを見た土方の喉が、はしたなく鳴る。と、近藤は土方の両脇に腕を入れ、ぎゅっとその体を立たせるように持ち上げた。
「わっ!」
 思わず声を上げた土方の尻をあやすようぴしゃりと軽く叩くと、腰へ両腕を回し、荷物でも抱えるように土方の足を浮かせる。土方は瞬間驚き、今更ながら顔を赤らめたが、少し目線の高くなった場所から近藤の首に抱き付いた。
 次の間に行き、布団の上に土方を降ろし、布をかけた鏡台に置かれた道具の中から潤滑油を取った近藤が向き直ると、土方は跪き相手の腿に手をかける。
 近藤の強い膂力に興奮していた。もっともっと、アンタにゃ敵わねェと思い知らせてくれ、と思う。
「舐めてもいいか?」
 言いながら土方は近藤のものを握り、欲情に潤んだ瞳で見上げた。
「入れさせろよ」
 余裕をなくした声にぞくぞくしながら土方は「ちょっとだけ」と舌を伸ばし先端を口に含む。
「んっ」
 途端に近藤のものがぐんと硬さを増した。根元を片手で扱きながら焦らす事のないよう土方は精一杯に口に唾液を溜め滑りをよくし、少しでも感じてくれるようにと唇を窄め、抽迭を繰り返す。
 近藤のものは世辞やべんちゃら抜きに立派で、咥えているには顎が疲れたが、土方はその行為が好きだった。これから自分を犯す欲望の象徴を目の前で育てれば、近藤が感じている様がはっきりと判る。これを俺に突き刺して、俺をよがり狂わせて。コイツで俺を苛めて可愛がって、殺してくれよ。
 口淫なら俺だって、女と変わらねェだろう、と思う。
 元は女好きの近藤が男の自分と行為に及ぶのは、これだけ抱かれ慣れた今でも、お情けなのかと思う事がある。それ程土方はもうずっと、近藤に惚れきっていた。たとえ「好きだ」「惚れた」と色欲を匂わせ口にしたのは近藤が先でも、腕を引きのしかかり、体の関係をねだったのが近藤からだったとしても、それでもまだ自分の方がアンタに惚れてる、と誰にともなく言い切れる自信はある。
 土方の髪を引き、近藤が動きを止めさせた。
「んは……」
「入れさせろって」
 見下ろす強い目の光に、土方は飲ませてくれりゃいいのに、と名残惜し気に口を離す。それでも欲しがられていると思えば興奮が募った。
「向こう向いて。手ェ付けよ」





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