宮益×仙道 1


「宮、お前彼女できたんだって?」
 大学生になってから、久しぶりの高校時代のバスケ部での集まりで、武藤が宮益に尋ねた。
「相変わらず耳が早いな」
 武藤の面白がるような表情に、宮益は少し照れた笑みを浮かべる。
「おうよ。なぁどんな子? どこで知り合ったんだよ」
 好奇心をむき出した武藤の質問に、宮益は間を置くようにメガネを取って磨き始めた。
「どんなって、そりゃすごく……可愛いよ。歳は一個下で、僕より向こうの方が背が高いんだけどさ、相手もバスケやってんだよね。それで何度か顔あわせてる内に、話が合うしってご飯食べに行ったりして、その辺からまぁ……なんとなく?」
「なんだよ、相手女子バス? スッゲー。やるなお前。海南のユニフォーム取ったことあるんだぜって自慢した?  その子の友達、「海南といえば武藤さん紹介して」とか言ってなかった?」
「武藤のことは知ってたけど、紹介してとは言われなかったなぁ」
 その時のことでも思い出しているのか、宮益が幸せそうな顔で小さく笑う。
 まだ彼女のいない武藤としては、また一人高校時代の友人に恋人ができたというのは由々しきことだが、小さな体で誰よりも努力を重ねてきた宮益のことを思うと、よかったなと純粋に思う。
 その子が、宮益を幸せにしてくれますように。漠然と胸の内でそう願う。
 宮益が選び、宮益を選んだ子だ。相手はきっと賢くて、言葉のとおり可愛いんだろう。
 ちくしょう、そんないい子にはオレが先に逢いたかった。やっかみで悪戯にそう思う。
「今度。絶対紹介しろよな。なんなら今から店に呼べ」
 無理を承知で言うと、肩を抱き、武藤は宮益のグラスに自分のジョッキをぶつけて、本日何度目かの乾杯をした。
「ん。……今度ね。アッキーも喜ぶよ。あ、アッキーってのがその、相手の子でっ」
 途端顔を赤らめた宮益に、なんだか武藤までが照れくさくなる。
 それを誤魔化すように、武藤は宮益の二の腕にパンチを入れる真似をし、そのこぶしをぐりぐりと回してみせる。
「なぁにがアッキーだ、こんのやろお」
 イーッと歯を剥き大げさに毒づく武藤の顔を見て、宮益も声をあげて笑いだした。





13.1.27 日記にUP
 アッキー出てこなくて、すまん。

戻る