牧と仙道

文章書くリハビリに。
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「仙道。オレと寝てみないか」
 牧さんの部屋で二人飲んでいる時、途切れた会話の合間に言われた。
 普段と変わらない口調と内容のギャップに驚いて、オレは首を傾げて牧さんに顔を向ける。
「なにそれ。キャンプのお誘い?」
「そう思うか?」
 わざととぼけたことを言うオレを見て、牧さんは口の端を上げ、片目を眇める。
 そういう顔は、ずるい。男くさくて色っぽくて、ちょっと好きな顔だ。
「わざわざオレなんか相手にしなくても、あんたならよりどりみどりでしょ」
「そうでもない。それに……」
「なに」
「ただやりたいって訳じゃない。お前を抱いてみたいんだ」
 うわぁ。そんなはっきり欲しがられると、オレ、ヤバいんだよ。じゃあいいよって寝てみたくなっちまう。オレで気持ちよくなる人って可愛いなってすぐ思っちまうから。だけどいくらなんでも、流されてそのままってのはマズイだろ。
「今度、整理券作っときますよ」
 そう言って酒を呷れば、牧さんは小さく噴き出した。




13.5.7 日記にUP

小説の「薔薇がなくっちゃ生きていけない」の人たちっぽい。
牧仙はこういう、駆け引きが好きなんだな。

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