薔薇がなくっちゃ生きていけない 3 



「雨、強くなってきましたね」

 まだ昼をすぎたばかりの部屋に雨音が響く。台風がきているせいで空いた休日、仙道は、退屈だと言って同じ学生マンションの一室に住む牧を自室へ呼び出した。
 自分の気まぐれにつきあい、部屋を素直に訪れてくれたのが嬉しくて、仙道は牧に玄関先で一度、キスをした。
 仕方がないとでもいうように、特に抵抗せずにいてくれる牧の優しさにつけ込んでいるようで申し訳ない、とは思う。
 こんな風にキスして遊ぶのも、いい加減にしねーと。
 部屋に招き入れ、録画してあったバスケの映像やコーヒーでもてなしながら、仙道は顔に出さずそう思う。
 はじめは確かに軽い悪戯だった。
 キスだけならばいつでも引き返せる。悪ノリがすぎているだけだ。心のどこかにそんな考えがあるせいで、シャツを捲り上げることも、ズボンのボタンを外すこともできない。
 本当はとっくに抜け出せなくなっている。気づいていてもやめることができない。だから、気づいていない振りをする。バカみたいにキスを繰り返しながら、まだ大丈夫だと、これは遊びにすぎないと自分たちに言い聞かせている。
 今日は我慢をしようと心に決めても、いざ牧の整った、男らしく精悍な横顔を見ていると、ついちょっかいを出したくなってしまう。
 少しだけ。頬に触れるだけなら。そう自分に言い訳しながらも、伸ばした指になめらかな肌を感じると、次は眉に、額に、煽情的な泣き黒子に、唇で触れてみたいと思う。
 そうしていつしか仙道は、牧の体を挟むように足を広げ、抱きついた形で舌を絡める。
 されるがままに唇や舌を差し出しながら、牧はベッドの縁に背をもたれ、仙道の腰を抱いていた。薄いシャツ越しに伝わる体温が心地いい。昨日まではまだ、少し動いただけで汗ばむほどの陽気だったのが、嘘のようだ。
 なんでこの人は拒まねーのかな、と仙道は牧の髪に指を入れ、首筋を撫で上げながら頬に唇を寄せる。
 あんたのせいにしてもいいのかな。だって牧さん、怒らねぇから。まぁホントに拒まれたらオレ、泣いちゃうけど。
 そんな自分の考えがおかしくて、仙道はそっと口元を緩めた。
 自分が泣くところなど実際には想像すらできない。
「なにを笑っている?」
「いいえ、なんにも。牧さんはいい男だなって見とれてました」
 こんなことをしているのは雨のせいだろう。今日だけがきっと特別なのだ。
 自分たちの存在は、強くなる雨音が隠してくれる。ほんのり肌寒い、この退屈で穏やかな空気を壊さぬように、そっと唇をついばみあい、下唇を吸っては舌で相手の舌を舐め、唇を重ねる。そうして二人で、そっと唇と体温を分けあう。
 気持ちがいい。
 コートの上では圧倒的な熱量を持ち汗を光らせる牧の肌も、今は表面がひやりと乾いている。それでも熱い指先が、仙道の頬や鼻筋をなぞり、口づけで濡れた唇を何度も辿った。その感覚が優しく、くすぐったい。
 唇に乗せられた指の腹をぺろりと舐めると、牧が軽く手を引く。それに向かい舌を大きく差し出すと、牧は楽しげに眼を光らせながら仙道の舌へそっと指を乗せた。
 ちゅく、と水音を立てながら仙道が指を吸う。硬く節ばった指や、綺麗に整えられた爪に舌を這わせ甘噛みしながら、仙道は牧と目をあわせた。
 わずかに眉間にしわを寄せ、食い入るように見つめる瞳の奥が、欲望の為かかすかに揺れている。そんな牧の表情が仙道を満足させた。
 口から引き抜いた指に垂れる自分の唾液を舌で拭ってやり、仙道は微笑む。
「牧さん、オレの顔好きですよね」
 率直に尋ねれば、牧は照れたように薄く目を伏せたあと、ゆっくり息を吐き出した。
「……ああ。そうだな。お前の顔は、好きだ」
 顔だけですか。そうからかうかわりに仙道は、牧の頬にそっと手を添え、目尻のほくろへ唇で触れる。
「オレはね、あんまり自分のこの顔、好きじゃねーんです」
 仙道がこんな告白をするのは、牧が自分と同じほどモテると知っているからだった。誰にでも言える話じゃない。
「もったいないな」
 意外そうな牧の呟きに、仙道は顔を離してまじまじと、牧の瞳を覗き込む。
「……牧さんも、そう思う?」
「どういう意味だ」
「だって、牧さんスゲー男前でしょ。バスケができなくても勉強できなくても、ツラだけで絶対モテるでしょ。なのに牧さんもオレが自分の顔好きじゃねぇって言ったら「もったいない」とか思うの?」
「オレは勉強もちゃんとしてる。……それなりに」
「そうじゃなくてさ」
 牧が真剣に、だがどこかとぼけた返事をするのに仙道は小さく噴き出した。そうして肩を揺らしたあと、なんと言ったものかと考える素振りで首を傾げる。
「顔目当ての人からモテんのとか、面倒くさくないですか」
「言っておくがオレはそんなにモテんぞ」
 買い被りだとこちらの頬をつねる真似をする牧に、仙道は面白そうに口元を綻ばせた。
「またまた。女が十人いりゃ、オレとあんたに三人ずつは注目するでしょ」
 わざとあけすけな口調で言えば、牧はなにかを考え込むように口をつぐんだあと、頷いた。
「……まあ、実際お前はモテるわな」
「うん。……うん。オレ、モテます。こんなこと牧さんにしか言えねーんで言っていいですか。オレ、モテんの面倒なんです。ウザいんす。無理なんです。嫌なんです」
 早口で吐き捨てながら、仙道はぎゅっと牧の背に腕を回し、肩口に顔を埋める。
 柔らかなところなどひとつもないような、鍛え上げられた硬い筋肉と体温を抱きしめて、安心している自分が不思議だった。
 そんな仙道の背を、牧がそっと宥めるように軽く叩く。
「……なにかあったか」
「べつに、最近のことじゃないんです」
 大きく溜息をつくと仙道は、悪戯に牧の耳を唇で挟む。珍しく感情的になった自分が照れくさかった。それを牧がどこまで察しているのだろう。照れて決まり悪く思っていることすら気づいていなければいいのに。
 内心をごまかすように、仙道は牧の耳へ舌を這わせ、この場の快楽だけに集中させようとした。
 けれど、すぐに顎を掴まれ顔を正面に持ってこられてしまう。
「話せよ」
 力強く澄んだ目が、楽しげにじっと仙道を見据える。仙道は顎を持たれ、頬を歪めたままで小さく笑った。
「ヤです」
「……話したいくせに」
 お見通しだとでもいうように軽く目を細めた牧は、一旦手を離すと仙道の首へ腕を回し、自分の胸元へその大きな体を引き寄せる。
 人肌の温かさに包まれると、仙道は柄にもなく感傷的になっている自分を意識して戸惑った。確かに、本当に言う気がなければそんな話を匂わすこともなかっただろう。すべてを胸の内に飲み込み、これまで十分、うまくやってきたつもりだ。
 キスをして服を着たまま抱きあって、それだけで薄皮が一枚剥がれるほどに自分の壁はもろかっただろうか。
 部屋を、強くなる雨音が支配する。
 その音に紛れて言葉が届かないならそれでもいいかと仙道は、牧の胸に額をつけたままで囁いた。
「……でも、べつにあんたは聞きたくないでしょ」
「そうでもない。聞いてみたい」
 牧が軽い口調で、仙道の呟きをためらいごと拾い上げる。
 甘えてもいいのだろうか。
 迷いの残る自分ごと丸投げしてやれと、仙道が背を丸め上目遣いで見つめた。
「じゃあ……キスしてください」
 その言葉に、牧は素直に唇を重ねてくる。舌が仙道の口内を自在に動き、官能を煽る。主導権を握られるのも悪くないと思えた相手は牧が初めてだ。
 キスで上気する体の熱に浮かされたように、仙道が誘いをかける。
「オレの話なんかより、キスの続きについて本気で考えてみるってどうですか」
 その方がずっと楽しい。牧の首筋を思わせぶりに撫でてやれば、ぶるりと小さく身を震わせたくせに「約束だろ」と間近でニヤリと笑われた。
 そう言われてしまえば、快楽の続きを促すのにも抵抗がある。はぐらかして逃げたと見抜かれるのは癪だった。
 仕方ないと牧の額に音を立てて唇を押しつけたあと、仙道は言葉を探すように壁の一点を見つめた。
「女同士で刃傷沙汰、ていうと大げさなんすけど」
 狙い通りぎょっとした目の前の顔に気をよくし、仙道は牧の鼻の頭に軽くキスを落とす。
「大昔の話ですよ。中坊ん時、同じ中学の女の子がね、オレのこと好きだったんだって。その子はね、オレと委員会が一緒で調子に乗って見えたんだって、他の、オレのファンって女の子からすると。そんで……呼び出して問い詰めたら、その晩、その、委員会が一緒だったって女の子が手首切ったらしくって」
 もう随分昔のことだ。それは、終わったことだ。
 軽い口調を意識しながら仙道は、驚いたように目を見開いた牧の瞼へ唇で触れる。
 悪ふざけはいい加減にしろと突き飛ばすでもなく、好きなように触れさせてくれる存在が背を抱いていてくれるというのがありがたかった。
「大丈夫、病院に行くとかってほどでもなくて、あとから周りのヤツが言ってたの聞いたら絆創膏で十分ってレベルだったらしいよ。だけど彼女は白い包帯を手首に巻いて……嬉しそうだった」
 正面から牧の顔を見るのがためらわれ、耳を鼻先でくすぐるようにして仙道が言葉を続ける。
 折角のこんな格好で、どうせならオレも、もっと楽しい睦言を囁きゃいいのに。仙道は頭の隅でふざけるようにそんなことを考えてみたが、今はキスで空気をごまかしながら、これまで誰にも言えずにいたことを牧に告白してみたかった。
「オレ、その子たちのことなんて、それまで全然知らなかったんですよ。気にしたことなかったし。だけど色んな噂が流れて面倒だなって思ってる内に……手作りの飯が食えなくなって」
 牧の大きな手がそっと背を撫でていてくれる。その温かさが言葉を繋ぐ力をくれる。
 まるで懺悔でもしているようだ。
 甘えている。甘やかされている。こんなことはいつぶりだろう。格好悪い。判っていても仙道は、吐き出してしまいたかった。
「それまでは「仙道くんへ」なんて宛名だけの、誰がくれたのかよく判んねーもんも、ありがとうって食えてたんですけど、なんか……ある日ふと無理だって思ったら、もうそこから全然駄目で。市販品とか食堂のおばちゃんの料理とか、そういうのは平気なんですけど、オレ用に作ってきましたってお弁当とかお菓子とか、もう全部駄目になっちゃって。そんな時陵南が誘ってくれたんで、東京出れたらなんか変わるかなって、ここじゃなきゃどこでもいいやって、オレ、神奈川選んだんです」
 牧がモテることは判っている。だからこそ自分はこんな愚痴をこぼしているのだろう。通常ならモテたくないなど、贅沢な悩みだと一刀両断されてもおかしくない。そのせいで今まで誰にも言えなかった。
 同じほどモテる牧ならば、自分の気持ちを判ってくれるのではないかと少しだけ期待した。
「それは……モテるのも大変だな」
「そーなんすよ。牧さんは? そういうことねぇの?」
 仙道は、ふう、とひとつ息をつくと気持ちを切り替えたようににっこり笑って、牧に好奇の目を向ける。
 吐き出してしまうとすっきりした。もう既に牧には、今の話を忘れて欲しい。自分の奥底を不用意に見せたようで気恥ずかしい。
「でもお前、この前オレの作った炒飯食ってたろ」
「え? ああ、そりゃね。知りあいで、オレのこと嫌いじゃないけどスッゲー好きって訳じゃない人の飯なら平気です。「オレだけ特別」ってのが駄目みたいで」
 言うと、仙道は微笑みを浮かべたまま牧の唇をさらった。
 つまらない話を聞いてくれたお礼にと、焦らさず快楽を煽るように口づければ、吐息が甘くかすれる。徐々に体へ熱が回る。触れあうシャツ越しの体温が、次を、続きの刺激を欲しがる。
 オレかこの人が女なら。思った瞬間に仙道は、ありえないと自分の考えを打ち消す。
 自分は女にはなれないし、ここにいる相手が女性なら、いくら人肌が恋しくともこんなことをこぼしたりはしない。
 以前、寝るなら自分が抱く方だと牧に宣言された。仙道とて自分が男に組み伏せられると思うと面白くはないが、相手が牧なら、と感覚的に納得しそうになる。
 牧にはそれだけの魅力と、度量の大きさがある。
 でなければ自分も、今まで誰にも言えずに、言わずにいた言葉を聞かせたりはせずに済んだだろう。
「それじゃお前今までの、彼女の手料理はどうなんだ」
「カノジョなんていねーですもん」
 体だけの相手ならともかく、と素直に続けそうになり、仙道はぐっと口をつぐんだ。見るからに生真面目なこの人の機嫌を、わざわざ損ねることはない。
 けれど牧には、飲み込んだ言葉が伝わってしまったようで、露骨に眉をひそめられた。
 実際はそれほど遊んでいやしないと、咄嗟に開きそうになった口をつぐむ。あまりにも言い訳めいている。
 時々、後腐れのない相手を選んで肌を重ねることがある。それだけのことだ。女性とみれば手当たり次第に食い散らかしているような遊び人の噂は、仙道からすれば心外だ。
 それでも、惚れたはれたを挟まずに体を重ねていること自体が不実なのだと責められれば、ぐうの音も出ない。
 そう考えればなんだか自分のような人間が、誠実さの塊のような牧に抱きついていること自体が申し訳なくなり、仙道は身をよじり体を離そうとした。
 だが逃げようとすると追いかけるのが性分なのか、牧は仙道の腰に回した腕へさらに力を込める。
「牧さん?」
 こんな大男を甘やかしてくれる、牧の優しさが面映い。顔を窺えば真剣に見つめ返された。
「お前、ミス海南大のナントカって子が好きだとか、この前の飲み会で話してたろ。その子をちゃんと口説いて落ち着いたらどうだ」
 唐突な牧の言葉に仙道は、先日部活での飲み会でそんな話をしたんだったと思い出す。
「ああ。そうっすね。でもそれはオレの片思いなんで」
 仙道の話は、場をしらけさせない為の処世術のひとつだったが、気にしてくれていたのだろうかと思うと妙に嬉しい。
「お前ならきっと大丈夫だ。どーんとこう、誘ってみてだな」
 牧のことだ、本気で言ってくれているのだろう。仙道の目が機嫌よく光る。
「告白なんて駄目ですよ」
「……お前でも自信がないとか、そういう不安があるのか」
「はぁ?」
「その子のことはよく知らないが、オレはお前のことなら知ってるからな。きっと大丈夫だ、思い切って告白してみろ。……そうすりゃこんなこと、オレとすることもなくなるだろう」
「牧さん、オレのこと過大評価してません?」
 抱きしめる腕に力を込めてくる牧の頬を、仙道が楽しげに撫でる。
「そんなことは……」
 そこで口ごもるところが微笑ましい。仙道は牧の額にちゅっと軽く口づけた。
 自分の本音を言ってしまえば、この真摯な人には嫌われてしまうだろうか。きっと自分のような考え方は想像もしたことがないのだろう。牧はあくまでも綺麗で真っ直ぐだ。
 だからこそ、汚してみたい。新雪に足跡をつけるように自分の泥を吐露して、牧が呆れる顔が見たい。
 それは肉欲よりも強力で甘美な誘惑だった。
「彼女に告白はね、しちゃ駄目なんです。OK出たらつきあわなきゃなんねーし、振られたって聞いたら、また他の女の子が、今がチャンスって仙道くんのとこにきちゃうでしょ。だから」
 判るでしょう、と微笑む仙道を、まだ幾分不審げに牧が眉を寄せて眺める。
「……でも、好きなんだろう? その子が」
「はぁ。まぁ……そっすね。彼氏持ちでその彼氏ってのがベンツ乗ってるってのが自慢みてーで、多分オレには興味なさそうってとことか、結構タイプですね」
「それは」
「ずっとそうなんす、オレ。無理めの女が好きって吹聴しとくの。そうすりゃよっぽど自信がある子しか寄ってこないし、そういう子のことも断りやすいし」
 器用に片眉を上げ口をへの字に結んだ牧に、仙道は悪戯そうな顔で尋ねた。
「呆れました?」
「いや。なんとなく、その方がお前らしいっていうか」
 肩の力を抜いて苦笑してみせる牧の様子に、仙道も小さく笑う。
「オレ、どんなイメージなんですか」
「で? お前は女性嫌いってわけか? 希代のモテ男が女嫌いってのも、話聞いちまうと頷けるというか、もったいないというか」
 ふう、と溜息をついた牧の発言に、仙道は虚を突かれたように目を丸くした。
「……どうなんですかね? 考えたことなかったや。オレ、セックスは女としかしたことないですけど、ホントは女嫌いで……ゲイなんですかね?」
 直截な台詞に、牧が軽く噴き出す。その様子に我に返ったように、仙道は慌てて体を離した。
「あ、すいません、なんか相手がホンモノのゲイかもって思うと、キスしてんのとか気持ち悪いですよね。……ごめんなさい」
 自覚はなかったが、そうか、自分は女嫌いだったのか。女性相手にやることはやっていたせいで、性欲が薄いだけなのだと思っていた。欲求をバスケで発散してしまっているのだろうと。
 そう考えると牧にはシャレにならないほど悪いことをしてしまった気がする。無意識でとはいえ自分は男を求めていたのだろうか。
 自分がゲイかどうかまで考えずに、ただ気持ちいいからとキスを繰り返していた。
 なるべく離れた場所にと座り直した仙道に、牧は釈然としない顔つきで尋ねる。
「今までその、……男に惚れたことはあるのか?」
「オレが? ないですよ」
 即答したあと仙道は、牧に向かってぺこりと頭を下げた。
「あのね、もうしませんから。なんか……今まで散々キスして、すいませんでした」
「謝る必要はねぇだろ」
「いやいや、ホントに。すいませんでしたっ」
 仙道が再び詫びる。と、両頬を掴むようにして顔を上げさせられた。
「いてっ」
 いつの間にか距離を詰められていたことに驚きながら、膝立ちになった牧を見上げる。
「……オレだって、したいからしてたんだ。謝るな」
 部屋の明かりを背に受けながら、牧の目は意志をはらんだ光を放っていた。
「あ。……うん」
 真摯な瞳に射すくめられたようにかすかに頷いた仙道の唇に、牧がそっと顔を寄せる。
 仙道はつられたように瞼を伏せながら、強くなる雨音を聞いていた。





色々捏造が多くて、申し訳ない。

12.10.06.UP

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